2009年7月24日金曜日

One Place After Another by Miwon Kwon

One Place After Another: Site-specific Art and Locational Identity

Site-Specificとは、作品の所在(location)に関するアート用語で、60年代にランドアートとともに発展した重要な考えのひとつです。作品がギャラリーというホワイトキューブに存在して、作品の自律性や商品価値(commodity)偏重で空間を無視して鑑賞される傾向にあった。しかし、作品は所在で意味が変わることがある。それならば一番適した場所に最高の形で作品を置くべきだと。という考え方です。Robert SmithonのSpiral Jettyは、塩湖の塩が結晶化し風化・浸食を経ることで時間の経過のプロセスを印象付けますし、文明から遠く離れた荒野という場所がかえって人間の存在、文明について考えさせる効果があります。つまり、作品の所在が作品の意味を強化しなおかつ構成要素にもなっています。また、こうしたランドアートとして屋外に展示する作品だけではなく、Installation型の作品もその場に応じて空間を作るので考えるべき部分です。最近のアートは、壁に飾られたペインティング以外は、広く括ればインスタレーションなのです。Site-Specificは考慮するのが常識みたいなもんです。アートにとっては場所とか、国境とかもおもしろいテーマになります。